「世界思想」7月号を刊行しました。
今号の特集は「日本を分断する中国「対日工作」の脅威」です。
ここではPart1 反米・反日工作の背後にある中国の影ご紹介します。
「左翼オールスター」で反イスラエルデモ
警視庁公安部は6月6日、革労協(革命的労働者協会)主流派の拠点を、公務執行妨害容疑で家宅捜索した。革労協は5月29日、ガザ地区へのイスラエルの軍事行動を批判する抗議活動で在日米大使館付近で機動隊と「衝突」し、警備にあたる隊員に同派活動家の男が複数回殴りかかり、職務妨害の容疑での逮捕と、関係先を捜索したもの。革労協は旧社会党系の新左翼過激派である社青同解放派の中心的組織(破防法調査対象団体にも指定)だ。
昨年10月のイスラエルとガザ地区を実効支配するハマスとの「衝突」以降、反イスラエルと「パレスチナ・ガザ連帯」のデモ行動が、日本でも断続的に行われている。
「パレスチナ土地の日」の3月30日に、新宿駅周辺で『新宿円周ラッピングデモ』を呼びかけたのが、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」だ。「賛同者」の面々を見ると、「9条の会」「共産党・立憲民主党」シンパの人々。まさに「立憲=共産党」の認識で「オール左翼」をプロデュースした「市民連合」も関わっている。護憲だけではなく「戦争をさせない1000人委員会」を呼びかけ、「さよなら原発」「(米軍基地)辺野古移設反対」も訴える。まさに「左翼オールスター」総結集とも言える陣容だ。
そして、「日本だけの問題に限定しない」ことが、より問題の本質を深刻化させている。
ハマスの「10・7蜂起」以前にも、PFLP(パレスチナ解放人民戦線)と連帯してイスラエルのテルアビブ空港乱射テロ事件を演出した重信房子最高幹部の日本赤軍により、日本では特に毎日新聞系列のTBSが重信氏を好意的に扱い、今回も「被害者ガザ」「パレスチナの正義」を一方的に強調する有様だ。
SNSの「浸透工作」の背景に中露のネットワーク
一方、「ガザ反戦デモ」で大学施設占拠など、かつての「ベトナム反戦」を彷彿させる米国で、4月下旬に全米の大学で逮捕者が2千人以上が逮捕される事態となった。こうした学生行動に影響を及ぼしたのがSNSで、特に中国発の動画アプリ「TikTok」だとジャーナリストの長谷川幸洋氏が自身の動画で指摘する(英米メディアによると30歳未満世代の情報源の35%がSNS、うち約半数弱がTikTok 情報だという)。
TikTok は中国系バイトダンス社から中国のサーバーに情報が漏れていることが問題視され、4月下旬に事実上禁止される法律が成立。反米反イスラエル情報の拡散ばかりか利用者位置情報などもダダ漏れし、リベラル路線のバイデン政権でも重い腰を上げざるを得なかった。
実はSNSの「浸透工作」の背景には「ドッペルゲンガー」「スパモフラージュ」と呼ばれる中露の影響工作ネットワークが介入しているという(「ニューヨーク・タイムズ」)。折しも、米国ではトランプ政権時代にある事件をきっかけに警察権を弱体化させた運動としてB ブラックライブズ・マターLM運動があったが、創設者がマルクス主義者であることに加え、在米中国(華人)系団体が資金提供していたことがわかっている。