陸上自衛隊(陸自)配備を問う宮古島市長選、現職勝利

 沖縄県宮古島市で1月22日、市長選の投開票が行われ、自民党が推薦する無所属現職の下地敏彦氏が勝利しました。宮古島市は沖縄本島から南西約290kmの距離にあり、人口は約5万人です。この日本の南端で行われた選挙の結果が、日本の安全保障にとって極めて大きな意義をもつことになりました。

 その理由は、政府が宮古島を含む南西諸島に陸上自衛隊を配備する計画を進めているからです。現職の下地敏彦氏は計画賛成派ですが、他の3人の候補者は、反対を表明するか住民投票を行うなどと主張していました。もし下地氏が敗北していたら、沖縄県の翁長知事が基地移設問題に反対して混乱を生んでいるのと同様の現象が起きたことでしょう。

 政府は2010年、南西諸島に陸自部隊を配備する計画を決定しました。南西諸島とは、鹿児島から台湾を結ぶ海域に一列に並ぶ、長さ1200kmに及ぶ島嶼群です。本州の長さが約1300kmであることを考えれば、いかに長い距離であるかが分かるでしょう。そしてここは中国から見れば、太平洋に進出するための重要な出口になります。先日、中国初の空母である「遼寧」も、この南西諸島にある宮古海峡を通過して太平洋に進出しました。中国軍の軍事戦略で極めて重要とされる「第一列島線」にも重なります。

 ところがこの南西諸島は、長い間日本の防衛上の「空白」となっていました。南西諸島の中で、陸上自衛隊は沖縄本島にしか配備されていなかったのです。これでは中国の脅威から日本を守ることができません。

 この背景には、かつての日本の脅威はソ連であり、主な装備や施設は北海道における戦車などを用いた陸上戦に備えたものとなっていたことがあります。南西諸島では、離島の防衛や奪還作戦に対応できなければなりません。そのため北海道の部隊を、そのまま持ってくればいいというわけではありません。新たな基地や施設も必要です。こうして政府によって配備計画が決定され、中でも宮古島には有事の際の初動部隊やミサイル施設といった重要な機能が置かれることになっていました。

 翁長知事率いる「オール沖縄」の勢力や沖縄の地元紙は、全力で配備反対に動きました。しかし結果は、配備受け入れを明言する現職市長が勝利しました。翁長知事が掲げる「オール沖縄」の虚構が完全に崩れたかたちです。知事は無用な抵抗をやめ、政府と協力する姿勢を示すべきです。

 南西諸島の位置や陸自部隊の2010年当時の状況はこちらをご覧ください。

(勝共オピニオンサイト RASHINBANより転載)

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