日本政府は、韓国・釜山日本総領事館前の慰安婦像設置に抗議して、長嶺駐韓大使と森本釜山総領事の一時帰国を含む強硬措置を発表した。日韓両政府は一昨年12月、「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した慰安婦問題に関する合意をなした。韓国政府は今でもその合意は尊重し履行していくと言っているが、慰安婦像の撤去に関する具体策は示していない。

 その背景には、朴槿恵大統領と崔順実の事件がある。本来政治の問題は、冷静で理性的対処が何よりも肝要である。しかし、現在の韓国は朴槿恵大統領憎しで、大統領がやったことは全て間違ったこととの激情的雰囲気が社会を支配している。合意がなされた直後は国民の43%がそれを支持していたのに、今では反対が59%、賛成は23%と激減している。

 釜山総領事館前慰安婦像設置は、このタイミングを左翼勢力が利用したものと考えられる。日本政府の強国措置は、合意遵守に対する強い意思を表すものであり、ある意味では致し方ない正しい措置であったと言えよう。しかし、朴槿恵大統領の弾劾審査が進行中の弱体代理韓国政権では、現在の世論に対抗できる力はないと見ざるを得ない。

 ではどうしたらいいのか?

 ①核・ミサイル開発及び配備を進める北朝鮮の脅威、さらにはその何万倍も大きな脅威である軍事・経済大国である共産中国に対備するためには、韓国を日米韓の枠組みに留めておかねばならない、

 ②その為には日本は、米国とのさらなる緊密な体制を深めねばならない。慰安婦問題も米国政府及び米国国民に徹底した説明を通して理解を求め、米国内にある慰安婦像の撤去を進める必要がある、

 ③韓国の民族性は熱しやすく冷めやすい。その時期を見計らって、安倍総理の戦後70年談話から始まって、慰安婦問題で日本政府が今まで行ってきたこと、そしてアジアの平和と繁栄のために日韓米の協力体制が何よりも肝要であることを、あらゆる術を講じて韓国民に訴えていくことが重要ではないか。

 以上、決して感情的にならず冷静に、①で述べた大義を立てて風林火山のごとくやるべきである。

勝共オピニオンサイト RASHINBANより転載)

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