文在寅大統領、最初の外遊・首脳会談は米国で決定。緊迫する北朝鮮問題で協議へ。
韓国大統領府は5月16日、6月末に初外遊先として米ワシントンを訪問し、トランプ大統領と首脳会談を行うと発表した。会談では北朝鮮への対応が主な議題となるという。
16日、横須賀の第7艦隊基地から原子力空母「ロナルド・レーガン」が出港した。弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への警戒活動のため、日本海に向かう可能性が高い。同基地によると、当初は15日に出港する予定だったが、不具合が見つかったため延期されていた。
一方、韓国国防省によると、朝鮮半島付近に派遣された米原子力空母「カール・ビンソン」は、日本海で韓国海軍と合同訓練を続けている。4月29日に訓練が始まったが、終了時期は未定であるという。これで世界最大級、最高水準の機能を持つ米空母二隻が北朝鮮を見据えて日本海で訓練を継続することになる。
「大統領になったら真っ先に北朝鮮を訪問」と発言していたが・・・現実は北朝鮮が挑発行動を繰り返すはめに。
文在寅氏は昨年12月、テレビ番組で「大統領に当選したら、迷うことなく、米国よりも先に北朝鮮を訪問する」と語っていた。さらに「米国にノーと言える外交が必要」とも語っていた。
しかし北朝鮮は新大統領を試すかのように挑発を繰り返している。5月14日早朝に発射されたミサイルは「新しい型」で、準ICBM(大陸間弾道弾)と言われている。高度約2000kmまで飛ばす「ロフテッド発射」で、弾頭が大気圏に再突入する際の高熱に耐えられるか否かの実験と見られている。発射角度を変えれば、6000kmから8000kmの射程距離との見解もあり、グアムのみならずアラスカやハワイが射程圏に入ることになる。まさにICBMへの確実な一歩なのだ。
文氏も核放棄を求めてはいる。しかし日米が連携し圧力を掛けることによって「『核か南北協力か選択しろ』と説明する」というものであり、直接対話が優先されている。もはや「現実」はこの甘えを許さない。
北朝鮮が核兵器の完全廃棄なくして平和なし。対話と制裁が武器だが対話を先立てれば失敗する。
米国家安全保障会議(NSC)のマシュー・ポッティンジャー・アジア上級部長が16日、韓国大統領府を訪れ、文氏の外交安保諮問団トップの鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏と会談し、北朝鮮の核兵器の完全破棄が最終目的であり、対話と制裁のすべてを総動員することを確認している。これまで北朝鮮は「凍結」を「にんじん」に対話へと誘い、隠れて核兵器の開発を継続してきたのだ。完全破棄が明確に含まれるメッセージなくして対話は始まらない。
国際社会(米国主導となる)が実施し得る「制裁」はまだまだ残っている。米国による北朝鮮・テロ支援国再指定、中国による石油の禁輸などが主なものである。それを段階的に繰り出すことで効果は極めて大きくなる。金正恩委員長が年頭の辞(1月1日)で「ICBM試射の最終段階」を宣言した時、トランプ大統領は「そんなことにはならない」とツイートした。妥協はあり得ないし、あってはならない。対話はその後のことである。