「世界思想」12月号を刊行しました。
今号の特集は「新時代の岐路 「高市政権」下で問われる日本の課題と選択」です。
ここでは特集記事からPart1【安倍政権のレガシー取り戻す 安全保障FOIP戦略】を
ご紹介します。
第104代にして初の女性首相となった高市早苗氏。10月24日の所信表明演説(写真)では「日本と日本人の底力を信じ」て「日本列島を強く豊かに」することを自ら任じ、「政治の安定」なくして、力強い経済政策も、力強い外交・安全保障政策も、推進していくことはできないと「日本再起」を目指したのが「自維連立政権」である。そこで目を引くキーワードが「力強さ」だ。
まずは積極財政により強い経済を作り、税収を増加させることで政権の安定を図る。不安を希望に変えることで若い世代に家庭を築くインセンティブを高め人口増につなげる。そうすると人間は守るべき存在を得ることで、より家族や国家・社会を守りたいと考える。これが「幸福の好循環」だ。
こうした日本の平和と安定を持続可能なものとするためには、どうすればよいだろうか。
12の部分からなる演説の10番目で高市首相は外交安全保障を取り上げた。「自由で開かれた安定的な国際秩序」とは「西側」のG7(主要7カ国)の主導の下で維持されてきた。しかし今やBRICSなど新興諸国が「次の覇権」を窺う中、日米欧の凋落が指摘される折、トランプ米政権が同盟諸国の防衛増強の要求するのは「自国を自らが守ること」を促すもので、それは真っ当な議論である。
2大洋に平和と安定もたらす理念
令和4年に凶弾に倒れた安倍晋三元首相は、平和安全法制による集団的自衛権の容認と特定秘密保護法制定で「悪夢の民主党政権」で招いた相互不信に陥った日米同盟を取り戻し、その上で「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」戦略の提唱で、外交のみならず安全保障的にも「QUAD」や「AUKUS」を出現させた二大洋にまたがる「平和の海」の理念は世界に存在感を示し欧州諸国をも瞠目させた。
そうした岸田・石破両政権では影を潜めた安倍政権の「レガシー」を取り戻すのが、高市政権の目指す安全保障政策だ。
わが国の唯一の同盟国アメリカは「MAGA」(米国を再び偉大に)を掲げるトランプ政権が再登場したものの、20世紀の世界秩序を実質支配した超大国の影は薄れ、グローバルサウス諸国の著しい勃興など、わが国を取り巻く周辺情勢はこれまでにない変化を遂げており、これまでの「常識」に囚われては「座して死を待つ」(鳩山一郎元首相)事態になりかねない。
そこで岸田政権で「反撃(スタンドオフ)能力」を含む防衛力強化や「GDP比2%」実現に道筋を開いた国家安全保障戦略など「安保三文書」のさらなる改定をいち早く決めた。
注目すべきは抑止力の大幅強化で、運用を開始した長射程巡航ミサイルに加え、次世代動力、つまり原子力によるVLS搭載潜水艦の保有などで抑止力は格段に上がる。小泉進次郎防衛相は原子力潜水艦と具体的に言及している。


