本連合が創設された1968年当時、自衛隊は共産党や社会党(当時)は言うに及ばず、日教組、自治労などの左翼労組、左翼メディア、極左過激派から「違憲の人殺し集団」呼ばわりされていた。自衛官の子らはヘイトスピーチにさらされ、教師からいじめを受けて転校を余儀なくされた子もいた。革新自治体は自衛官の募集業務を公然と拒んだ。今も非協力的自治体が少なからずある。

 人には自らを守る反射神経が本能としてあり正当防衛が刑法でも認められているように、国家には自衛権(個別的・集団的)が国際法によって当然のごとく認められている。それにも関わらず共産勢力は騒ぎ立てていたのである。本連合はそうした共産勢力をわが国から一掃し、真に独立国たらしめることを誓った。遺憾ながらこの誓いは成就していない。さる7月1日に自衛隊創立70年を迎えたが、いまだ「自衛隊」であるからである。「軍隊」にしなければ70年のご苦労に報いることができない。国民よ、このことを想起せよ。

自衛隊を行政組織とする根本的誤謬

 間違いの原点は言うまでもなく1945年の敗戦である。軍事占領下に制定された現行憲法(それこそ国際法違反の愚物だ)9条で「戦力」を保持しないとされた。それが朝鮮戦争を受けて占領軍は警察力を補強するために「警察予備隊」を作らせた。予備隊は52年に「保安隊」に改編され、54年に「自衛隊」が創設されたのである。

 警察予備隊は法整備する際、文字通り警察法を基本にし、その延長上で自衛隊が創設された。これがボタンの掛け違いの始まりである。なぜなら軍は警察とは似て非なる組織であるからだ。警察は国内の治安を守る「行政組織」であるが、軍は外国の侵略を防ぐ、祖国を守る「戦闘組織」である。警察力とはかけ離れた強力な実力(軍事力)をもたせている。それが世界の国々が保有する軍の意味だ。

 軍人は武器を所持し一般市民とはまったく異なる環境のもとにある。だから公務員の中でも最も厳格な規律が必要で、どの国でも軍に対しては警察法でなく、特別の法すなわち軍法を整備しているのである。世界では憲法に軍を規定し、たとえば米国憲法は議会に軍法制定権を定め、軍法に基づいて軍人は行動する。

 敵前逃亡には死刑を適用する国もある。しかし、自衛隊は警察法に準じて整備されてきたので防衛出動命令忌避は最高刑が懲役7年にすぎない。軍人は国の安全を守るために武器使用も許されている。その対象が敵兵だった場合、〝殺人〟も認められる。それを一般人と同じ刑法で殺人罪を問うことになれば、軍事行動は成立しない。特別の軍法が必要とされる所以がここにある。

 高等軍法会議や師団軍法会議や特別軍法会議などが設けられて軍人は軍法によって裁かれるのが世界の常識である。ところが現行憲法は特別裁判所の設置を禁止している。何という欺瞞か。軍隊における捜査・裁判権の独立は国際的常識である。司法警察が事実上の国軍を取り調べるというような事態はまさに異常事態で、国際的にみれば噴飯モノである。

 海難審判や刑事裁判では自衛隊に海上衝突予防法といった一般的な法律を適用しているが、これは世界から見れば非常識きわまりないことである。国際海洋法は「軍艦は適用外」と定めており、軍艦を特別視し一般船のルールを適用しない。国防の任に当たる軍艦は一般船より優先するのが世界の常識であり、自国領海では軍艦に優先航行権を与えている。国民もまた軍艦に敬意を表して道を譲る。ところが、潜水艦「なだしお」事故(1988年)やイージス艦「あたご」事故(2008年)では国際常識から逸脱した一般法を適用し自衛隊を無法呼ばわりした。

 自衛隊に入隊した際に「服務の宣誓」を行うことを自衛隊法53条などが定めているが、それには「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」とあるように「殉国」を求めているのである。いったい戦死者に対して国家、国民はどう報いるのか。

警察予備隊


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