東京都内の公立小学校で「性教育を実施」との印刷物が保護者に配布され、本連合会員の保護者が学校側の説明を聞いたレポートの2回目を掲載する。
上記写真は、科学的性教育を推奨してきた性教協創立者・山本直英氏監修の本。山本氏は著書で「男と女とは、たとえ結婚に結びつかなくても、婚前でも、婚外でも、たとえ親子の不倫でも、子弟でも、まさに階級や身分や制度を越えて愛し合うことが可能である」と述べ、家族内の性関係までも肯定する過激思想の持ち主だ。
科学的性教育を強弁
どうやら私が納得しない限り、この場は終わらないらしい。それでも「こんな性教育は認められない」と言い続けると、養護教諭が持論を訴え出した。主な内容は以下の通りだ。
子供たちの家庭は様々だ。理想的な家庭ばかりではない。命の尊さを伝えると言っても、父親が誰かわらないような子もいる。尊く思われずに生まれてきた命もある。そういう子に命の尊さを伝えるのは学校では難しい。科学的内容を教えることしかできない。
それから最近の子供たちの性行動をお父さんは知っていますか。小6の女の子に生理不順があると、「あなた、ひょっとして妊娠してないでしょうね?」と聞かざるを得ない子が少なからずいる。中学になると「妊娠なの?」とダイレクトに聞く。それぐらい性行動は低年齢化している。
一方、インターネット上にはいい加減な性の知識が溢れている。特に問題なのが避妊方法。それで望まぬ妊娠が増えている。だから性の知識はできるだけ具体的に、科学的に教えないといけない。6年生からでは遅い。もっと早くから教えないといけない。こうした事情が実際にある。お父さん(私)が知らないだけだ。
概ねこんな話である。でもちょっと待て。私は当小学校のPTA会長を5年務めるが、小6で妊娠などという話は聞いたことがない。そんなことがあればお母さんたちからすぐに情報が入るはずだ。むしろ当小学校は子供や保護者が良心的で、新しく赴任してきた教師が驚くほどだ。
また、卒業後に通う中学校で万引き等の不良行動が問題になったが、校長が変わったことで事件が如実に減った。要は子供に対し、大人がどれだけ真剣に向き合えるかが重要ではないか。同じように考えれば、性行動に走る子供がいるから性の知識を教えるのが重要なのではなく、まずは大人が真剣に向き合うべきではないか。それをせずに早期の性教育というのは本筋ではないのではないか。
もし大人が向き合ってダメなら個別に教育するしかない。でもそんな事例は当小学校では聞いたことがなく、画一的な科学的性教育には納得がいかない。
ただ、そう理論的に考えられたのは後からで、その場では言い返す言葉が見つからなかった。むしろ問題にすべきは教育内容が学習指導要領に「著しく逸脱しているか」だけを考えていた。そこで教諭が作ったデータを改めて見て、「ここは教科書より絵が具体的すぎる」という部分を何点か指摘し私の主張を治めた。
だがその指摘にも、副校長は「そうは思わない」と反論。結局平行線で、私が引く形で約2時間半に及ぶ3人のやり取りは終わった。
力を落とし帰宅すると、直後に副校長からメール。「校長と事情を共有した」「指摘された絵は(別な理由で)削除することになった」とある。理由はどうあれとりあえず言い分が通った形でホッとした。
でもこんな考えを持つ養護教諭がいる限り、どれだけ教材データを確認しても、授業中に何を言うかわからない。根本的な思想は変わらないからだ。
どうしたものかと思っていたら翌朝、子供が同じ学校に通っている顔見知りの市議と駅頭で会った。これはチャンスと名刺をもらい、昼休みに電話して事情を説明。市議は深く共感して、すぐ市の教育委員会に相談してくれた。また校長にも一人の保護者として会ってくれた。市議と市教委から確認が入れば学校も無視できないのではないか。
その後、性教育が進んだとの話は聞かない。今後どうなるかはわからないが、しばらくは様子を見るしかないだろう。 (鈴木実)
思想新聞掲載のニュースは本紙にて ーー
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