北朝鮮に主導権を渡してはならない

 南北会談で、北朝鮮が平昌冬季五輪に選手団を派遣することが決定しました。平和の祭典である五輪への参加で友好ムードが印象づけられましたが、北朝鮮の真の狙いが他にあるのは間違いありません。

 韓国を国際社会から引き剥がし、厳しい経済制裁を緩和しようとしているのです。韓国の文在寅大統領は会談を高く評価しましたが、北朝鮮に主導権を握られてはいけません。国際社会と緊密に連携し、核ミサイル放棄まで一貫して圧力を加え続けるべきです。

 

 韓国政府の当面の課題は、平昌冬季五輪をいかに成功させるかです。世界が注目する一大国際イベントを失敗すれば、政権にとって大変なダメージとなってしまうからです。

 ところが開催1か月前の段階で、チケットの販売数が目標の6割程度にとどまっています。このままでは閑古鳥が鳴く中で競技が行われてしまいます。韓国国内での関心の低さに加え、海外で北朝鮮有事に対する懸念があるためです。

 文政権が北朝鮮に五輪への参加を繰り返し呼びかけたのはこのためでした。もし北朝鮮が参加すれば、有事が起きることはまずありません。また世界の注目を集めることもできます。参加の呼びかけは、文政権の切り札とも言うべきものでした。

 

 そして今回の会談では、北朝鮮が五輪への参加を早々に表明しました。あらゆる事情を交渉のカードとして最大限に利用しようとする従来の外交姿勢から考えれば、異例の発言といえるでしょう。逆に見れば、北朝鮮がかなり追い詰められているということができます。

 南北会談で北朝鮮の閣僚は、核ミサイルはアメリカを狙うもので、「わが同族を狙ったものではない」と強調しました。これは韓国をアメリカから切り離すための計略です。核ミサイル開発を維持したまま、南北の経済交流を再開させ、経済制裁の効果を消そうとしていることは明らかです。

 今後も北朝鮮ペースで話が進めば、核ミサイル開発に猶予を与えてしまいます。韓国は国際社会と足並みをそろえ、一致して圧力を加え続けるべきです。

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