安倍晋三首相は来週火曜(4月17日)に訪米し、2日間にわたってトランプ米大統領と会談します。アメリカ政府は、この会談の主要なテーマを二つ明らかにしています。一つは北朝鮮問題、もう一つは日米の通商問題です。特に北朝鮮問題の話し合いは、今後の東アジア情勢において極めて重要です。安倍首相には強い期待が寄せられています。

これまで、トランプ氏の北朝鮮に対する態度は一貫してきました。核ミサイル開発を放棄しなければ、制裁は解除しない。むしろ強化するというものです。

実際トランプ政権は、昨年1年間を通して厳しい制裁を行ってきました。北朝鮮が今年に入り、韓国や中国に急接近するなど、従来の態度を大きく変えましたが、このトランプ氏の戦略が奏功していると見て間違いありません。今後予定されている米朝首脳会談でも、トランプ氏がこの立場を変えなければ、東アジア情勢は一気に安定に向かう可能性もあるでしょう。

しかしトランプ氏は、大統領選挙当時から「アメリカファースト(米国第一)」を強く訴えてきました。その方針は今も変わっていません。そのため米朝首脳会談で、態度を急変させるおそれが指摘されています。米国に到達する核ミサイル開発は認めない。しかしそれ以外は容認するのではないかというものです。

北朝鮮がいかに不当な独裁政権であっても、アメリカに被害がない限り、「アメリカファースト」の観点からは「干渉すべきでない」ということになるでしょう。日本に到達する核ミサイル、あるいは日本人の拉致被害の問題は、アメリカに直接被害を及ぼすものではありません。その点を強く迫るよりは、よりアメリカに有利な成果を引き出すべきと考える可能性もあります。ですからトランプ氏が、実際の交渉では妥協案を示すおそれがあるのです。

しかし北朝鮮との交渉で妥協すれば、再び核ミサイル開発を進め、アメリカや国際社会を脅迫するようになるのは明らかです。安倍首相はトランプ氏との会談で、「(日本を射程に入れる)短・中距離弾道ミサイルの放棄」(参院予算委員会3月26日)も迫るよう、強く要請する予定です。「米国の関心は低い」(ロイター4月13日)のが実情ですが、これを納得させることが重要です。

日本の立場が重要です。安倍首相には、日米首脳会談を通して北朝鮮問題の根本的な解決を図るよう、期待します。

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