安保理で北朝鮮への制裁強化決定。しかし、効果は中国の姿勢次第。

 北朝鮮は5月29日早朝、5月における3度目のミサイル発射を行った。特に今回の実験は、先端に羽根がついており、ミサイル誘導システムに基づく極めて進化したものであった。さらに6月8日、地対艦ミサイルを発射した。

 国連安保理は6月2日、中露賛成のもと、北朝鮮への制裁強化を決定した。内容は北朝鮮幹部14名の渡航禁止及び資産凍結、そしてミサイル開発を担当している「戦略ロケット軍」、高麗銀行等4団体の資産凍結であるが、その効果は未知数である。

 鍵を握るのは中国である。中国税関総署が公表した輸出入統計月報によると、北朝鮮からの輸入は本年1~4月に5億9845万ドルとわずか2.7%減にしかなっていない。特に鉄鉱石の輸入が昨年同期比4倍に増加している。これらの数字から見る限り、国連安保理の北朝鮮への経済制裁を厳格に履行しているとは考えられない。

米国は中国に騙されてきた。今は中国に、北朝鮮への制裁強化の圧力をかけるべき時だ。

 ロス商務長官は5月12日、米中首脳会談に基づき、貿易不均衡是正の為の100日計画について10分野で合意したと発表。その中には、米国のLNG・米牛肉の中国への輸出拡大、中国内での海外企業による格付け業務許可、米金融機関による債券引き受け・決済業務などへの参入許可、中国からは調理済み鳥肉製品の米国への輸出解禁、中国が主導する「一帯一路」フォーラムの重要性を認識し、米国からの代表派遣等が盛り込まれた。

 トランプ政権は、南シナ海における「航行の自由作戦」を、結果として7ヶ月間も中止した。5月24日には再開したが、今後どれほどの頻度で行うか疑問である。

 このように見てくると、マイケル・ピルズベリーの「100年マラソン」を想起せざるを得ない。米国は中国に騙されてはいけない。中国を最大の敵性国家として認識し、その共産党独裁体制崩壊のためにも北朝鮮問題を利用する必要がある。

 中国に北朝鮮への制裁強化(石油輸出禁止、金融取引停止等)の圧力をもっと掛けなければならない。もし中国が中途半端であったなら、中国に対する為替操作国認定や、中国からの輸入品により高い関税を掛けるなどの対応が必要となる。

国際勝共連合会長 太田 洪量

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