ICBM(大陸間弾道弾)の試射。国際社会の批判を尻目に「大慶事」として宣伝する金正恩。
「ついに」と言うべきでしょうか。
北朝鮮がICBM(大陸間弾道弾)の試射を成功させました。
今年の1月1日、金正恩委員長は年頭の辞で「ICBMの試射準備の最終段階に入った」と述べ、即座に米・トランプ大統領は「そんなことにはならない」と返していました。
北朝鮮は7月4日午前(9時39分頃)、同国西北部から弾道ミサイル1発を発射し約40分間、飛距離約900kmで日本の排他的経済水域(EEZ)に着水したのです。(EEZ内は5回目)弾道ミサイル発射は今年に入って10回目でした。
北朝鮮中央テレビは4日午後、「特別重大報道」として、「大陸間弾道弾『火星14』の試射に初めて成功」と報じ、さらに「歴史に特記すべき大慶事」「ICBMを保有した堂々たる『核強国』として米国の核戦争威嚇を根源的に終息」させると強調したのです。
日韓両国では緊張が高まる。トランプ氏は北朝鮮に怒りを込めてツイート。
特別重大報道はこれで3回目です。1回目は2016年1月の4回目の核実験、は2回目は同年2月の長距離弾道ミサイル「人工衛星の光明星4号」発射。そして今回です。
なぜ「今」なのか。狙いは複数あると思われます。まず、①7月4日は米国独立記念日であり、そこにぶつけて衝撃を与えようとした。次に②米国は6月末から、中国に圧力を加えて北朝鮮を制裁する、いわゆる「セカンダリー・サンクション(二次的制裁)」に踏み切りました。その動きに対する牽制です。さらに、③G20首脳会議の直前であることから、より大きな政治的効果を上げることができると考えた、等が挙げられます。
トランプ政権、および米国世論は北朝鮮批判を強めています。米大学生ワームビア氏(22歳)の死去もその背景にあります。氏は、昨年1月に北朝鮮で拘束され、3月の公判で、敵対行為を理由に15年の労働教化刑を宣告されていました。その直後に瀕死状態に陥り、6月13日に帰国しましたが、直後の19日病院で亡くなったのです。
トランプ氏は怒り込めて3日夜(米国時間)、「この男(金正恩氏)は他にやることはないのか。韓国、日本がこれ以上、我慢できると考えるのは難しい」「中国はおそらく北朝鮮に重大な動きをし、意味のないことをきっぱりと辞めさせるだろう」とツイートしています。
朝鮮半島は「動乱」以後、最高の緊張状態へと進む。難しい選択が待ち受けている。
一方、中国・習近平主席とロシアのプーチン大統領とが4日、モスクワで会談し、北朝鮮の危機について、北朝鮮の核・ミサイル開発と米韓軍事演習を共に中止するよう求める考えで一致したと報じられました。
米国がこの考えを受け入れることはありません。米韓軍事演習の中止と北朝鮮の核・ミサイル開発の中止、いわば「凍結対凍結」での対話には応じないことを、マクマスター補佐官などは繰り返し発言してきたのです。「核放棄」を前提しないいかなる対話にも応じないという決意なのです。
朝鮮半島は、「動乱」以後、最高の緊張状態へと進むことは間違いありません。日韓米は、北朝鮮の「核放棄」で一致して進まなければなりません。