世界思想6月号を刊行しました。今号の特集は「歴代内閣を格付けする」です。
【特集】歴代内閣を格付けする ー 安倍政権を戦後政治史に位置づける試み ー
朝鮮半島情勢が緊迫する中、日本は未だ「モリカケ問題」追及による「安倍政権叩き」に狂奔。しかし、その安倍政権は再登板から間もなく5年半、首相在職は小泉純一郎氏を抜き2000日になろうとしている。その「仕事ぶり」を、改めて戦後の歴代内閣の「格付け」評価をする中で振り返ってみる。 [文責・編集部]
各内閣の外交・安保・経済・教育・社会保障・行政他の政策毎にA=優、B=良、C=可、D=不可、E=最悪 の5段階で評価した
戦後日本を決定づけた「吉田ドクトリン」
Ⅰ.占領から独立主権国へ
◆「戦後ニッポン」をグランドデザインした吉田茂
◆ 保守合同を実現させ自民党の礎築いた鳩山一郎
改憲政党=自民党の来歴と安定政権への模索
Ⅱ.「保守合同」と経済成長
◆ 生命賭け日米安保条約改定を実現した岸信介
◆「吉田ドクトリン」の忠実な継承者・池田勇人
◆ 沖縄・小笠原の祖国復帰を実現した佐藤栄作
◆ 田中・三木・福田の熾烈な権力闘争劇
大平・中曽根内閣から自民党政権の瓦解まで
Ⅲ.バブルから国際貢献へ
◆ 日米同盟の重視と行革実現の中曽根内閣
◆ 家族再生を目指した大平正芳の幻の構想
「2大政党制」へ模索から自社連立の徒花も
Ⅳ.55年体制の崩壊と混乱
◆ 理念・政治抜きで瓦解した野党政権
◆ 政治不信から国際情勢の変化に無策
「日米同盟強化」路線で拉致被害者取り戻す
Ⅴ.「小泉」後の年替り内閣
◆ 郵政民営化賛否も日米同盟を深めた小泉政権
◆ 僅か1年で著しい実績を上げ退場した第1次安倍政権
◆ 小泉・安倍継承するもリベラル寄りの福田内閣
◆ ねじれ国会に悩み選挙管理内閣となった麻生政権
「お試しリベラル政権」の失敗と教訓
Ⅵ.民主党政権と安倍再登板
◆ 優柔不断の鳩山政権で日米関係は最悪に
◆ 構造改革派の革命路線困難で自滅した菅政権
◆ 民主党政権で最も保守色の強い野田政権
◆ 日米同盟基軸の外交とアベノミクスで存在感示す
安倍晋三氏は、破綻寸前の日米関係の改善と強化に向け始動した。それはまた、デフレ経済からの完全脱却と同時進行でなければならない。経済立て直しは政権維持の優先課題として、日本銀行による大規模な金融緩和、政府による機動的な財政出動、規制緩和などを通じた成長戦略の三本の矢=「アベノミクス」を発進させた。
また対中国戦略でもあるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加表明し、地球俯瞰外交と安全保障ダイヤモンド構想で中国覇権主義の封じ込めに奔走。13年7月の参議院選挙で自民党は大勝。12月、安倍氏は靖国神社を参拝。
安倍氏は、「日本を守る」ために走った。特定秘密の保護に関する法律(特定秘密保護法)(13年12月)、国家安全保障会議事務局・国家安全保障局の発足(14年1月)、消費増税導入(同4月)、集団的自衛権の限定行使容認を閣議決定(同7月)、戦後70年談話を発表(15年8月)、平和安全保障法制成立(同9月)、慰安婦問題の日韓合意(同12月)など実行、成立させた。
米国もドナルド・トランプ大統領の誕生で、日米関係はさらに緊密になった。北朝鮮・金正恩委員長は17年の年頭にICBM(大陸間弾道ミサイル)保有を宣言したが、トランプ氏はツイッターで「そうはならない」と返した。
韓国・平昌五輪を契機に、経済制裁で追い込まれた北朝鮮が動き始めた。日米韓を中心に、北朝鮮の完全非核化まで「最大限の圧力」をかけ続けることになる。南北首脳会談、米朝首脳会談、日朝首脳会談へ向け動き出した。加えて中国の覇権的行動、とくに南シナ海、台湾、尖閣諸島周辺で顕著だ。
そう考えれば憲法改正は道半ばだ。3選が取り沙汰されるが、危機の迫る中で安定政権を築いた安倍氏の続投は、「戦後レジームからの脱却」の必須要件である。
以上、戦後歴代内閣をA~Eの5段階評価で格付けした。モリカケで追及される安倍晋三内閣は、6月半ばで小泉内閣を抜き連続で在職2千日、通算2365日と吉田茂に次ぐ。その重みを国民は噛みしめるべきではなかろうか。
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