世界思想2月号を刊行しました。今号の特集は「トランプ現象とは何か~米福音派の真実~」です。
ここでは特集記事の一部 「福音派の源流と現状」 についてご紹介します。
リベラルとの「内戦」を担う保守派の運動組織「福音派」
米国を「根本的に違った国に変えたい」と指向する勢力とは、民主党に結集する左翼リベラルだ。
彼らは西欧マルクス主義、フランクフルト学派が提示した内容に沿って「アイデンティティ」戦略を展開する。
これは人々を所得、人種、学歴、性別など一定の共通項を持ったグループに区分し、それぞれに政治的メッセージを提供するものだ。
元来、民主党は、選挙を人種・性別グループにわけて戦う手法を採用してきたが、近年は特にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の発達がその取り組みを後押ししている。
「#Me Too」(女性の権利を訴える)や「#Black Lives Matter」(アフリカ系有権者の生命の尊厳を訴える)運動などがその代表例だ。
それらは「差別なき社会」の実現を掲げつつ、キリスト教的価値観、建国理念の否定にまで突き進んでいる。
このままでは米国が米国でなくなってしまう。
世俗化、非キリスト教化、建国理念の危機が迫っている。その認識を共有する共和党保守派の運動組織が「福音派」なのだ。