トランプ大統領誕生の立役者、バノン氏を解任。北朝鮮への対応で対立

   去る8月16日、米国トランプ政権大統領首席戦略官・上級顧問であったスティーブ・バノンが解任された。

 彼は、昨年8月、大統領選で不利な状況にあったトランプ陣営の選挙責任者に就任し、トランプ氏を勝利に導いた最大の功労者である。

 バノン氏は、4月にはシリアへのミサイル攻撃に反対し、トランプ大統領の娘イヴァンカ氏や彼女の夫クシュナー氏と対立、6月にはパリ協定離脱反対のクシュナー氏やコーン国家経済会議委員長と対立、またアフガニスタン増派を主張するマクマスター国家安全保障担当補佐官とも海外への軍事介入反対の立場で対立を深めていた。

 直接の解任のきっかけとなったのは、リベラル派雑誌「アメリカン・プロスペクト」のインタビューに答えて、「米国の北朝鮮に対する軍事的解決はない。中国に対する貿易戦争に集中すべきである」とのバノン氏の発言が、トランプ大統領の「北朝鮮に対してはあらゆるオプションが手の中にある」との主張と食い違ったためであった。

中国の脅威を理解するバノン氏が去った影響を懸念。中国には北朝鮮以上の警戒が必要だ

 一般的には、アメリカン・ファースト、白人至上主義、ポピュリズムのバノン氏と国際派と言われるクシュナー氏、コーン氏、ディナ・パウエル大統領補佐官との確執の結果と言われているが、ここで2点言っておきたい。

 まず一つは、バノン氏解任の北朝鮮に対する影響である。これでトランプ氏の周辺で北朝鮮への軍事攻撃に反対する人はいなくなった。北朝鮮からすれば、米軍の攻撃が現実味を帯びてきたと映り、大きな衝撃が走ったと見るべきであろう。

 もう1点は、対中戦略の定まらないトランプ政権の中にあって、唯一世界的視野で中国の脅威を理解し、対中こそ米国の外交戦略の中心にすえるべきと見てきたバノン氏がホワイトハウスを去ることによって、トランプ政権の対中戦略が弱腰になったり、親中派に主導権を握られることはないかとの危惧である。

 中国の脅威は、北朝鮮のそれとは比較にならない。米国が再び誤らないように見ていかねばならない。

世界平和連合会長 太田 洪量

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