韓国・文在寅大統領の対北政策。金正恩との対話・融和路線は、米国の意向に反する。

  韓国で左派政権が誕生した。文在寅・新大統領は10日正午に国会で就任宣誓し、同日夜には米国トランプ大統領と電話会談し、米韓同盟の重要性を再確認するとともに、早急に高官級の代表団の相互派遣及び首脳会談を行うことで一致した。

 11日には中国習近平主席と電話で40分会談。THAAD(高高度地域防衛ミサイルシステム)配備を巡り、中国に代表団を派遣することを伝えた。その後、安倍晋三総理と25分電話会談した。

 文氏は平壌訪問の意向も表明しており、いわば話し合い重視の全方位外交の色彩が濃厚である。しかし、仮に平壌を訪問して金正恩委員長と会談したり、開城工業団地の再開を決定したらトランプ氏はどう出るだろうか。北朝鮮に核放棄させるとの強い意志で軍事的経済的に圧力を強めているのに、当の韓国は一体何を考えているのだと怒り、恐らく米韓自由貿易協定を破棄してくるであろう。

中国の圧力に屈しTHAAD導入拒否なら、米国との関係は最悪に。

  また中国の圧力に屈して在韓米軍のTHAAD導入を見直したら、同じく米国は激怒するであろう。中国にしても、THAAD問題であまりやり過ぎると、米国から通商政策・為替政策の見直しを迫られるだろう。習氏が最も恐れることである。

  さらに日本との慰安婦合意を破棄したら、北朝鮮包囲に最も必要な日韓両国の協力体制を崩したということで、米国はよく思わないであろう。まして、安倍総理は各国首脳の中で最も親密な信頼関係をトランプ氏と結んでいる事実がある。トランプ氏が習氏との会談中に行ったシリアへの巡航ミサイル攻撃が効いている。

韓国の現実的状況は、全方位外交は「不可能」。外交に失敗すれば経済制裁による落ち込み必死。

 全方位外交は不可能なのである。韓国新政権は米国との関係に7~8割の力を投入しなければならない。文氏がもし上述した力学関係を読めなかったら、今でも大変な韓国経済が落ち込み、民衆の不満は新政権に向かうであろう。

国際勝共連合会長 太田 洪量

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