習近平主席が毛沢東と鄧小平のみ使った最高位「核心」を自分に対して呼ばせるように。
韓国朴槿恵大統領が罷免されたことを誰よりも喜んでいるのは、北朝鮮であり、中国であろう。その中国では、大きな異変が起きている。去る3月5日全人代(日本の通常国会に当たる)冒頭の演説で、不仲が伝えられていた李克強首相まで、習近平国家主席を何度も「核心」と呼んだのであった。
中華人民共和国が建国されて以来、「核心」と言われたのは、毛沢東と鄧小平のみであった。毛沢東は中華人民共和国・建国の父である。鄧小平は改革開放路線を始め、社会主義市場経済を定着させた中興の祖といえるだろう。この2人が「核心」と呼ばれるゆえんである。
「核心」習近平は、中国共産党の終身独裁者を画策。実績とつりあわない呼称を使う危うさ。
では習氏には何があるのだろう。腐敗摘発で、政敵を排除しただけではないか。習氏に近いと言われた天津市の黄興国書記代理の解任もなされたが、他は全て敵対派の人間であり、習氏の姉一家の巨大腐敗は目を瞑ったままである。
さらに、「核心」どころか本年秋に行われる第19回党大会では、1982年に廃止された中国共産党中央委員会主席の座を復活し、習近平が就任する画策が進んでいるとの情報が流れている。この座に毛沢東は27年就いていたが、大躍進政策や文化大革命の失敗により、独裁体制は危険だとの判断のもと、7人の政治局常務委員による集団指導体制に変ったのであった。この委員は68歳が定年であり、習氏も2022年で任を終えねばならない。もし党中央委主席につけば、定年はなく彼の独裁が続くことになる。
鄧小平さえその座に就かなかった党主席に習氏が就いたらどうなるか。
中国の経済成長に虚偽報告も。習近平の掛けは、中国共産党独裁体制を招くリスクを内包。
かつて華国鋒はその座に就任してほぼ2年後に失脚した。習氏は何の実績もないどころか、大きな過ちを犯した。当の鄧氏は、米国という巨大な敵の前に、敵の栄養を吸い取りながら力をつけていき、その間は米国と敵対しないという戦略をとった。
中国はGDP(国内総生産)こそ米国の60%になったが、相対的国力比で見れば30%以下ではないか。なのに南シナ海岩礁埋め立て軍事基地化で、米国と敵対関係になった。
しかも実体経済は、遼寧省が経済成長率の虚偽報告を明らかにし、昨年の成長率をマイナス2.5%と是正したごとく悲惨極まりない。習氏の危険な賭けと共に、中国共産党独裁体制崩壊が近づいたと見るべきであろう。