世界思想3月号を刊行しました。  巻頭言「トランプ政権の今後を占う四つの視点」をご紹介します。

日米のメディアはトランプ政権に手厳しく。トランプ政権をどのように捉えたらよいか。

1月20日、ドナルド・トランプ氏が米国第45代大統領に就任した。新大統領に対して日米の大手メディアの見方は厳しい。例えば、米CNNテレビは就任直前の世論調査で、支持率40%(不支持率52%)と異例の低さであると報道した。これに対し産経新聞の古森義久客員特派員は、CNNの調査対象は共和党より民主党支持者が多かった事実を示した。

このようなことは、大統領選挙戦の時からであることは前号のこの欄で指摘した。日本のメディアもこの流れを受け継いでいる。一例を挙げよう。トランプ氏が就任前初の記者会見を行ったが、その際、「QUIET」との彼の発言を、某テレビは「黙れ!」と訳していた。

いずれにしても、大方の専門家の意見は、トランプ新政権に対し「?」が多い。筆者は新政権を占うのに以下の4つの観点が必要と考える。①ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の関係 ②キリスト教根本主義に基づく性の問題、家庭の尊重等の伝統的考えを否定する文化共産主義 ③共産党独裁国家中国に対する姿勢 ④グローバリズム&第4次産業革命の問題点―である。

①右腕で娘婿のクシュナー氏がユダヤ教徒 ②オバマ政権下で否定された伝統的価値観の回復

第1点については、トランプ大統領の長女イヴァンカさんの夫クシュナー氏はユダヤ人であるだけでなく、正党なユダヤ教徒でもある。それでイヴァンカさんもユダヤ教に改宗して彼と結婚した。このクシュナー氏はトランプ氏の右腕であり、ホワイトハウスの上級顧問に就任した。従ってトランプ政権は今後、米大使館のエルサレム移転の検討や対「イスラム国」(IS)強硬作戦等、相当イスラエル寄りの政策を進めると考えられる。

2点目。オバマ政権下で、LGBT(性的少数者)の権利擁護どころか同性愛者の結婚の合法化が半ば強圧的に進められた。これがキリスト教を否定し、無神論者の拡大へとつながってきた。メディアやハリウッド、および米国の知的エリートが多く住む東・西海岸でこの傾向が強い。彼らが反トランプで動くのは、文化共産主義を背景とした思想的問題である。トランプ大統領はこれと闘うだろう。

③共産党独裁国家・中国の本質を見抜けるか ④広がる経済格差と軋轢、平準化に向かえるか

3つめの対中国問題。ポイントは中国を共産主義国家と捉えることができるかどうか。とすれば中国は世界覇権を狙っている。故に中国との戦いは、国際的連帯を組まねばならないし、思想・政治・経済・軍事等総合戦であることを理解することが肝要である。安倍晋三総理は、その点をよく説明して、総理以外にそれができる政治家はいないと思う。

4点目。ソ連の崩壊及び中国の市場主義導入により、経済のクローバル化、すなわち人・物・金が国境を越えて動いてきた。そうなると製造業は人件費の安いところに移る。中国が世界の工場となった所以である。最も被害を被ったのが米国ともいえる。
それに加えて中南米からの多数の移民、また経済危機を金融中心で乗り越えてきたつけで格差が拡大している。今後第4次産業革命で大多数の人々が職を失う。世界の地域間の経済・技術の平準化と共に、国内での平準化は、今後、人類に突きつけられた大きな問題とみるべきであろう。

< 3月号 巻頭言「羅針盤」より > 

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