ドナルド・トランプ前米大統領が7月11日、テキサス州ダラスで開かれた全米保守派最大の集会「CPAC」で講演した。この中でトランプ氏は、「批判的人種理論(Critical Race Theory)」が全米を二つに分断していると訴えた。

 批判的人種理論は昨年、「BLM」(黒人生命尊重)運動が全米を席巻した際に激論されるようになった。

 この理論は1980年台に「批判的法学研究」から派生した法学上の新しい運動で、リチャード・デルガドらハーバード大学の法学者が唱え始めた。その内容は、米国社会が今でもなお、黒人が差別され続け、白人優位であるのは、社会が構造的に白人優位であるからだ、という理論だ。

 リンカーン大統領による奴隷制廃止やキング牧師の公民権運動にもかかわらず、未だ米国社会は白人優位のまま。そもそも米国の法律自体が白人優遇とは書かれていないが構造的に人種差別的だからだ、とする理論だ。これに左翼が同調し、米国文化をぶち壊す「キャンセル・カルチャー」運動とつながっている。

 これに対し、保守派では「人種差別を理論的に裏付けているように見せているが、要は共産主義と同じだ」として批判。

 

義務教育で「米国は人種差別の国」と教え込もうと画策する共産主義勢力

 

 この両者が激論している最大の問題は「この理論を義務教育で教えていいのか」だ。

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