米国ジェームズ・マティス国防長官が初の外遊先として韓国と日本を訪問する。2月2日に韓国到着。2月3日には来日し、4日に発つ予定である。
米国の歴代国防長官は中東やアフガニスタンを最初に訪問することが多かった。北朝鮮の核・ミサイル開発、更には背後に控える巨大な主要敵である中国を最大の脅威と、トランプ新政権が捉えている証左と考えられる。
今まで米国は、中東か東アジアかとその軸がぶれてきた。とりわけ1991年1月17日の湾岸戦争はイスラム過激派テロを生み、世界を混乱に陥れてしまった。それだけでなく中東に意識が行き過ぎ、中国という巨大な共産主義国家に利用され、中国の軍事的経済的肥大化を助けてきた。オバマ大統領は、米国の外交・軍事の軸を中東から東アジアに移す、「リバランス」政策を叫んだが、具体的には何もしなかった。
政治には冷静な判断による戦略・戦術が不可欠である。安倍晋三総理は、中国とロシアの経済力・軍事力を比較して、中国を最大の脅威として捉えるべきであり、いわば中国包囲網のためにはロシアとも組まねばならない旨の、発言をしたことがある。筆者も同感である。
中国という、かつてのソ連以上の経済力を持った中国がひたすらに軍拡に走っている。世界覇権を狙う共産主義国家中国に対するには、日米韓の三国を機軸に広範囲に同盟国家を広げていかねばならない。日本が、釜山総領事館前の慰安婦像設置で韓国に毅然とした態度をとっているのは、別の側面から見れば韓国を重視しているからである。
現在、弱体化した韓国政権のみの力では、釜山慰安婦像問題解決は期待できない。韓国は、経済的・軍事的に米国には大きく依存しているし、国民も米国に対しては肯定的である。米国から韓国政権に、釜山慰安婦像撤去に踏み出す力を与えることを期待したい。