ロシアによるウクライナ軍事侵攻が迫っている。ロシアとベラルーシの合同訓練がウクライナ国境近くで開始された。ウクライナの首都キエフまで約100㎞の地点である。プーチン露大統領の主張は「北大西洋条約機構(NATO)の東方不拡大の保証」で一貫している。欧米は拒否し、主権国家は自国のありかたは自らが決定するとして一歩も引かない。いかなる理由をつくりあげても「軍事力による威嚇」「力による現状変更」は認められない。国連憲章、国際法違反である。プーチンの決断は、バイデン米政権の「弱腰」と中国との「競合」偏重政策を見切ってなされたといえよう。昨年6月の米露首脳会談と8月末のアフガンからの米軍撤退の顛末を見て確信をもって突き進んでいる。日本は欧米と強く連携して動かなければならない。

西側諸国への不満を述べるプーチン大統領

プーチン大統領「再選」視野に

  プーチン氏の狙いはウクライナのNATO編入阻止である。昨年7月、プーチン氏は論文を発表した。内容は「ロシアとウクライナの一体性」について。両国は中世の大国「キエフ・ルーシ公国」の流れをくむ「兄弟国」であるとし、「本当のウクライナの主権はロシアとのパートナー関係の中でのみ可能になる」と述べている。

そして、ウクライナはロシアにとって欧州との間に挟まれた安全保障上の緩衝地帯となっている。NATO編入は何としても阻止しなければならないのだ。

プーチン氏は2月1日、クレムリンでの記者会見で、「想像してほしい。ウクライナがNATOに入って軍事行動を始める。我々はNATOと戦うのか?」「NATOを背景にウクライナの右派勢力がクリミアや東部を攻撃し、ロシアは戦争に引き込まれる」と声を張り上げたのだ。

プーチン大統領任期は2024年まで。再選のための「レガシー」をつくるのは今しかないとみているのだろう。
プーチン氏はNATOの東方拡大を屈辱と感じてきた。大統領になった2000年、西側に騙されたと発言している。1990年のドイツ統一交渉で米・西側が「NATOは拡大しないとした約束を破った」との前提で、怒りをあらわにしたのだ。しかし「NATO不拡大」を確約した公式文書は存在しない。

ロシアとウクライナの「紛争」は2014年来、続いているのだ。ロシアによるクリミア併合後、ウクライナでは東部のドネツク、ルガンスク両州でロシアの支援を受けた親露派武装勢力が複数施設を占拠し、政府軍との大規模戦闘に発展した。

15年2月に和平合意(「ミンスク2」)が結ばれたが具体的履行で行き詰まっている。これまでに約1万4000人が死亡し、膠着状態が続いている。ロシアは両州の親露派支配地域で約72万人に国籍を付与しているのだ。ウクライナはロシア国籍を簡単な手続きで取得できる措置はウクライナの主権を脅かす侵略行為だとして反発する。

ウクライナのゼレンスキー大統領は2019年の大統領選挙で、「東部紛争を終結させる」と公約し、国民の厭戦気分を背景に圧勝した。

しかし「ミンスク2」の二本柱である「東部での選挙実施や自治権付与」と「ウクライナによる東部国境管理の回復」のどちらを優先するかで折り合いがついていない。ロシアはウクライナでの連邦制導入を狙い前者を優先させたい。しかし、ゼレンスキー政権は東部国境の管理を回復してロシアの軍事支援や工作活動を止めるのが先決だと訴えている。

 

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